第74回全関西行動WEB展

開催にあたって

この度緊急事態宣言の発動に伴い美術館での開催が中止となりました事は大変残念でした。全関西行動展を2年連続でなくなります事は、ご出品頂いた皆様の志気を下げてしまいかねません。万が一に美術館での開催が不可能になった場合に備え準備を重ねて参りました。初の試みとなりますがWEBによる全関西行動展展及び新人発掘プロジェクトを開催致します。

 

今回は一般出品者53名新人発掘プロジェクト42名と前年度よりかなり減少致しましたがコロナ渦中志気溢れる作品が集いました。またこれから新たな息吹を感じる作品もあり充実した内容となりました。今回のWEB展には残念ながら委員の作品はございませんが、各委員から出品された皆様に作品の講評をお願い致しました。今後の作品制作のご参考になればと思います。

文末になりましたが、この度の開催にあたって、禍中にも関わらず、ご支援頂いたスポンサー及び関係者の皆様に心より御礼申し上げます。


  • 講評につきましては1作品につき1名の委員からの個人的な意見・感想となっております。 関西行動美術で総括した講評では無い事をご理解の上、出品者の皆様には一意見として今後のご制作のご参考にしてください。
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第74回全関西行動賞

ターナー色彩賞

谷本憲弘 「晴れる日」 130号

『一委員の一意見です』映画のワンシーンのような雰囲気のあるとても良い作品だと思います。実物が見たいです。

 

 

 

新人賞

ターレンス賞

田中伸子  I HOPE  130F

『一委員の一意見です』キャンバス全体を、広く見渡している大きな花その後ろで受けている黄色か金色か写真では判断がつきかねますが、力強く主役を支えています。白の投げ込みもとてもうまくいきています。わたくしなら、葉の色をもう少し抑えます。でもこれは個人の意見です。これからもこの良い方向を目指して頑張ってください。

 

 

翌年度無鑑査

マルイ賞

長谷田志満夫 MyGarden,21-1  F100

『一委員の一意見です』大変良く塗り込んだ作品の様に見受けられマチエ―ルの深さを感じました。荒々しく引っかいているように見えますが、感覚と計算されているように思えます。完成度の高い抽象絵画と痛感いたしました今後の制作が楽しみです。

 

 

翌年度無鑑査

ハート&アート賞

村田 千代  ツキノヒカリ  130F

『一委員の一意見です』「ツキノヒカリ」とあるが月は描かれていない。中央に映し出される樹木の影がその存在を感じさせる。抑揚を抑えた描写が効果的で主題を引き立てている。無機質な漆黒の壁に囲まれた空間と、やや温かみのあるベンチのコントラストも魅力的だ。コロナ禍の現代においては、収束の向こうにある希望の「ヒカリ」に重なって見えてくる。

奨励賞

ターレンス賞

中村 寛  ロープ  初出品 P100 

『一委員の一意見です』最初とてもていねいに描かれているなあと感じました。使い込まれところどころほつれているロープや、見るからに丈夫そうな太いロープ、変わった形のロープなど、それぞれに描きわけられていて好感を持ちました。多分、漁で使われているロープだと思いますが・・・海の潮の香りを感じました。

 

 

奨励賞

ターレンス賞

御本恵津子  ドリームジャンクション  F130

『一委員の一意見です』閉じこもってしまいそうな日常生活で、夢を追い続ける現代社会を表現しているように思えます。構図がとても大胆で今後の作品が楽しみです。

 

 

レジェンド賞

レジェンド賞とは    今回より新設された新しい賞です。本会所属のレジェンド有志より送られた賞となります。

 

 奥田 麻里子  これから  F130号

『一委員の一意見です』最初は迫力のある構図と緻密な構図に圧倒されました。出品回数が重なるにつれ深い存在感が伝わってきています。この先、作者の心の中の動きと共に躍動感をも感じられる作品も拝見したいものです。

大阪府知事賞

ギャラリー菊賞

村田 章   根こそぎ  130号

『一委員の一意見です』巨大な亀でしょうか(擬人化された何か)が襲ってくる恐怖を強く感じます。上下のコントラストが強調され、迫力のある作品になっています。まさに現代の世を表しているようです。

 

 

大阪市長賞

富島賞

村井 秀行   帰郷   F120号

『一委員の一意見です』画面構成の巧みさ、安定した描写力、観る者の思考を刺激するテーマ性等、見どころの多い作品。人物の赤いコスチュームがとても効果的で、作品の内部世界へと私たちの視線を導いてゆく。

ホルベイン賞

永見真知子  ー 淵 en ー  120号変形 

『一委員の一意見です』色の調子が良いと思います。下の方の白いところは動きがありますが何なんでしょう!

ホルベイン賞

溝口 恵美子  移る   初出品 S40

『一委員の一意見です』様々な事象が織り混ざり、重複したイメージを築いています。描きながらも実験を試み、意欲的に創作をなさっている姿が感じられます。構図がスクエアの画面の中心に集まりすぎている為に、本来意としたダイナミズムや躍動がもの足りなくなってしまっているのが残念です。モチーフの大きさも均等になって変化をとぼしいものにしています。同テーマでもう一作、描いてみてはいかがでしょうか。

カワチ賞

亀谷 修次  月の印象(始まり)   F130

『一委員の一意見です』暖色の空間に誕生したばかりの日 遠くに見えるピラミッド、とてもスッキリとした絵の中に太陽から月へ、月から地球へ、それとも新世界、色々イメージしました。もしピラミッドがなかったらと想像するのも楽しい。

 

 

サクラクレパス賞

工藤 友理子  TOMORROW  130号F

『一委員の一意見です』人物の表現も静物の表現も非常に強い表現力があり印象深く受け止めました。少し息を抜く処があればもっと良かったかもしれません。次回もとても楽しみです。

 

AMS賞

川本 博哉   行こう  F100

『一委員の一意見です』画面を大きく水平と垂直で構成されたとは作品に安定感のあるものとしています。またその構成の上の「色の形」としての様々な表現が「色彩」や「空間」のリズム感を感じさせます。マチェールの変化を直接見られないのは残念です。会場で拝見したい作品です。課題は画面向かって右側の表現に不足を感じます。左側の「色彩」や「空間の深さ」の関係に検討が必要です
 

マロニエ賞

山本君枝   沈黙する時空 120F

 『一委員の一意見です』時が止まった静かな表現がよく現れています。もっと明暗をはっきりしても良かったかもしれません。次回に期待しています.

 

 

マロニエ賞

伊達  もくらん  時の回廊 初出品    F80

『一委員の一意見です』右サイドの表現にとても豊かなセンスを感じます。左上の部分にもう少し明るいところを作ることで、右サイドによりしっかりした表現につながるのではないでしょうか。次回の作品が楽しみです。

 

 

 

入選作品

秋元 行雄 ボヘミアンの休息      130F

『一委員の一意見です』その1

独特の空気感が感じられ、絵としておもしろいと思います。自由奔放というよりか、疲れを癒している休息中のようです。色彩的な印象からそのように見受けられます。色使いの割に静かです。ぐったりしているのかなあ。私は好きです。

『一委員の一意見です』その2

淡い色彩で、デフォルメされた何人もの人物が画面いっぱいに描かれており幻想的な作品に思えました。これからの作品の色使いが楽しみです。

生田 博 A Day In The らんど 初出品 F120

『一委員の一意見です』F120号大作に真心が入っています。素朴な表現もよろしい!!大いに好きなように「ガンバって」下さい。

安藤 節子   刻    80号

『一委員の一意見です』『真面目に写生されており好感が持てます。今後は更に物の質感を凝視し、また画面構成にも十分留意して枚数を重ねて下さい。」

石川 敬依子 時空を超えて・・・ 120F

『一委員の一意見です』毎回の作風の大きな変化に驚かされ、楽しみにしています。。今回の作品はグレー地に黒い亀裂のような線が走り作家には珍しい原色の赤、青、黄をちりばめた大胆な作品に仕上がっています。個人的には左下の黄色はない方が右上の小さい黄色が生きてくるように思います。

 


石原 敏弘  アニマル 初出品  F100

『一委員の一意見です』統一感の色に好感を抱くことができる。後は構図とフォルムの考案を試みれば更に一歩前に進んだ作品になると期待しています。

 

稲富 杏子 パラレルワールド F130

『一委員の一意見です』はじめに手前の明るい昆虫が目に入ります。そこから後ろに伸びて行くレールが、動き、奥行、広がりを感じさせます。レールが動物の骨の様にも見え、見るほどに不安を感じるのは、昆虫が擬人化されているからでしょうか。中心のカマキリから見つめられ、何かを問われている様に感じる作品です。次の展開が楽しみになります。

 


井上 晴子  何処より  F80号

『一委員の一意見です』卵の中から出てきたのは一体どこから?恐怖心を感じ作者の意図が伝わってきます。卵と宇宙の配色はとてもきれいです。中央の黒(?)の色量と根っ子みたいなものをもう少しこの部分の左右対象に近い構図を完全に対象化するかまたは、いっそ不安定なものにしてみてもいいのかもしれません。僭越ながら。

 

 

今田 勝美   火の神  130

『一委員の一意見です』 火の神、  様は、陶芸で作品を焼く登り窯の神様でしょうか? 火が消えて作品をとり出すまでは、本当に神様に祈るしかないですものね。描かれているような神様がいてほしいです。


植田 幸代  ブエノスアイレスの街かど   F100

『一委員の一意見です』キャンバスの中から音楽が聞こえてきそうです。楽しい気持ちになります。この感覚で進んでください。楽しみです。

河村 佐代子  深海生物  S100

『一委員の一意見です』微生物のような深海生物がそれぞれ楽しみながら共生しているように見えます。色の配色が心地良く、リズミカルで観ていて楽しく感じる作品です。


岸本 あや子 森の不思議      F100 

 『一委員の一意見です』写真で拝見しましたが、一生懸命に描かれているのが伝わって来ました。実物を見ることが出来たら、もっと森の不思議な様子がわかると思いました。これからの発想を楽しみにしています。

 


木村 久子「棚田 お日様がいっぱいで」 130号

『一委員の一意見です』緑の麦畑、赤茶の耕地など空まで続く山村の段々畑をリズミカルな構成に仕上げています。心の奥にある原初の風景に暖かな懐かしさを覚えます

櫛橋 敦子  花やすらいたまえ  F130

その1『一委員の一意見です』大作に挑戦されている姿勢は素晴らしい。続けてください。大きい画面を絵にするにはそれなりのデテールや要素の密度が必要です。主張するものとそれを盛り立てるものとの調和や対比、明暗の変化、色調、質感、量感、リズム等が必要です。大作は長編小説だと思います。色々構成する事が醍醐味になります。時に自作を反転して見て下さい。参考まで。

 

その2『一委員の一意見です』花のような植物が左下方に向きながらも静かな動きがあります。寒色系の静けさの中に微かな動きが感じられ、制作者の思いが伝わるようです。全体的にまとまった構成で、実際にマチエールのある作品を見ると、より感じるものがあると思われます。


小林 啓子  初詣  F100

『一委員の一意見です』破魔矢を持ち少し緊張した面持ちでたたずむ人物。社務所のガラス越しに見える着物の文様だろうか、さらに映り込んだ不思議な風景、人影ともとれる。直立した人物と前景の背然とした構成の「静」と、ガラスの奥に見える不思議な「動の世界との
 コントラストが画面に緊張感を生み、物語を感じさせる。

小林 まさ子   ばら窓   F100

『一委員の一意見です』ステンドグラスのような、色がとても綺麗でその中に女神がいるような感じがしました。力強さもあり、とても不思議な世界な作品です。


坂野 真子   Dodo   S60

『一委員の一意見です』隣り合う色を考慮すること(特にピンク、黄色、ブルーの部分)背景となる色の塗り方も雑になり過ぎず雑にする。一人の意見として聞き流してください。真ん中の版画的な部分は面白い。

佐藤 萌子   想う    120号

『一委員の一意見です』空と海と砂浜を丁寧に描かれています。また、手前にあるブロックも細部まで丁寧に描かれていて全体的に素直な描写に好感がもたれます。一方で、海が空に比べて細部まで描きこまれているため、空の空間の広がりと少し違うように感じます。もう少し中央の描きこみをへらしてあげれば、空との一体感が出たのではないかと思います。


重松 恵美子 神々の狂宴  130

『一委員の一意見です』鳥か昆虫象の頭を持つ神々の姿が明るい色彩タッチから生き生きと、まさに荒ぶる神狂宴を印象づけ中心にある丸い形が荒々しい神々の奥から何かを見通すような目のような一種の畏れのような感じもして、今後の展開が楽しみになりました。

 

千谷  百合子 時空  F100 

『一委員の一意見です』自分の心を、このアドバルーンに結んで、違う世界へ飛んで行きたいのでしょうか?色々と空想できて、楽しい作品です。

 清水 朝美 月明り  F130号

『一委員の一意見です』力強く動きのある作品です。明暗もうまくついています。右上の部分に黒い部分を入れると作品がひきしまってくると思います。

曽根 地之    出雲の神在祭    F100

『一委員の一意見です』その1

とても丁寧に描かれていて色相・グラデーションも美しいですね。神々と背景の位置,構成を少し工夫されたらまとまりと、広がりの表現がより魅力を増すと思います。今後も楽しみにしています。

『一委員の一意見です』その2

神々が出雲に集まる神在祭の神事を表現された作品と思われます。山の向こうの暖色系の色がアクセントになっています。遥か古代からの神秘的な神事の表現方法を色々な角度からアプローチするのも良いかと思います。


田中 秀子      未来を   130F

『一委員の一意見です』以前のいくつかの作品では子供の世界を描いておられて、そこからは子供たちの声が何重にも重なりざわめく音となって耳に届いてくるような感じを受けていました。作者の方はその一つ一つの声を取り出し、耳を傾けているうちに、今回の作品で次世代への想いと希望を表す、力強いメッセージと繋がっていたように感じます。。

玉野 良三  五百羅漢  100F

『一委員の一意見です』撮影時のライトの影響なのか、中心に光が

当たりこの作品の場合それが効果的に働いています。羅漢のグレー

、山の緑がもう少しこなれると重厚さが増してくると思われます。

一体一体の羅漢の顔が誰かに似ているようで、ほのぼのとした作品

になっています。

   
   

 


出口 満起子      舞         F100

『一委員の一意見です』美しい色彩で海の中の世界が生々と表現されています。これからも頑張ってください。

中 恵美       眺望・夢         100

『一委員の一意見です』サバンナのような広大な大地。作者はきっと、行って見たいと思っての作品でしょうか?空気も澄みわたり、日本にはないおおらかな気持ちになるのではと感じました。いいですネ

 手前がもう少し明るいと一層広大さが伝わるような気がします。


中島 周子  桜の思い出  130F

『一委員の一意見です』桜の頃、花   花の華やいだ思い出を心にあたためて懐かしんでいる様子が画面にあふれています。見ていて楽しくなる作品です

 西尾 憲代   衣  F100

『一委員の一意見です』楽しいモチーフですね。大きい手、足、小さな人物いろいろとリズミカルで良いと思います。これからも楽しんで進んでください。

中野 映子      創世  100号

『一委員の一意見です』超現実の形態をとりながら、鋭く現実を直視した作品です。

べニーズグレーの不安気な地上と上空。そして、私達が大切に育てた文明の象徴の大きな球体も亀裂と共にべニーズグレーが溢れてきそう。統一感のある質の高い出来映えです。

西口 千津子 春の足音  F100

その1『委員の1意見です』明るい色合いが春の訪れの気持ちが感じられて良い作品と思います。今後の参考として頂くのは、もう一段、強調するところと、もう一段弱めるところの部分を入れて、今の全体同一な色彩に深みと変化を出すことと、余白遊びの部分ももう少し増やしたら良いかと存じます。しかし大へん可能性がみられます。

その2『一委員の一意見です』春がやって来る喜びが画面いっぱいに広がり スキップしたくなるような雰囲気が伝わってきます。春らしい色合いで楽しくなる作品です。

 

 


福崎 千恵子  大きくなあれ~21 F50

『一委員の一意見です』「大きくなぁれ~21」これは胎児の命でしょうか?赤い丸と肌色の帯、緑の帯、上に伸びる生命力を表現されているように思いました。マチェールが少し見にくいのが残念です。小さい人間を描いているように見えますがそれが判るように上の帯の大きな表現を少し考えてはいかがでしょうか?。

福田  啓美   共存コロナも? 100

『一委員の一意見です』 安心して遊んでいる子供達、この犀はコロナを食べつくしてくれるのだろうか?しかし、まっかな空が不気味ですね。

 

 


朴 玉恵   向こう側  S100 

『一委員の一意見です』 パステルカラーで面白い作品と思います。時間をかけて見ているといろんな 形地 線が見えてきます。ただ、私の意見はもう少しパンチの利いた表現も次回作品で見せてください。

真野 燿子 繋がる   F80

『一委員の一意見です』画面に面白い動きがあり楽しい作品です。物の材質感を色彩の調和に工夫すればよい作品になると思います。


水野 枝理  歩む  100S

『一委員の一意見です』写実に徹するなら徹底して対照に食いついて欲しいです。

 

嶺尾 咲子  「祈り」 100S

『一委員の一意見です』その1

男たちがかつぐ馬小屋であろうか、屋根にキリストを抱くマリア。バックにはエッフェル塔やコロセウム見え隠れし梯子を登る八百屋お七らしき美人など盛り沢山にちりばめられていて力作である。表現力、描写力、ともに素晴らしい。

いささか饒舌すぎる感はいなめないが、今後の展開が楽しみな作家である。これからの作品に期待したい。

『一委員の一意見です』その2

1つのキャンバスにいろんな時代がありますね。塔の今、和服姿の昔その間に家がありそれを支える人物

木の根のような滝、下を流れる川、。いろいろと楽しく発想されておられますね。観ていて楽しくなります。

 これからも自由にアンテナを伸ばしていてください。


山本 哲夫  通学路    F100

『一委員の一意見です』新しい家家が建ち並び、便利な道路ができ、文化的な楽しい暮らし易い街の情景が、色鮮やかに描かれています。子供達の賑やかな声が響き渡る様です。作者にとって、かつて通った道は今もそのままです。明るい、ノスタルジックな良い作品だと思います。

 

横山 佳代子  La Vida 2021   182×160

『一委員の一意見です』モザイクタイルのような表現で個性的な作品ですね。鉄格子のような黒いラインの向こうに白い形態がうごめいて人物のようにも見えてきます。「La Vida 」の意味もあるのでしょうか。
作品を分割した意図はつかめませんが、モザイクでしかできない表現を追求されたらいかがでしょうか。